2019年7月18日木曜日

教室から:「史記」を遊ぶ

横浜国立大学国語教育研究会・特別企画! 

高芝麻子先生(漢文学)による漢文の授業に(なんかゲームをやるらしいと聞いて)潜入取材してきました!
本日の授業のテーマは、「『史記』を遊ぶ」

これまでの「史記」に関する学習を踏まえて、受講生たちが制作した「史記」の双六ゲーム(双六じゃないのもあった)は、高芝先生の想像をはるかに超えるほどの力作ばかり(!)ということで、この日は、受講者の皆さんが作った「史記」ゲームを遊んでみる会でした。

「本日の授業で必要なものは筆記用具と闘志のみです」という指示に見られるように、今日はとにかく、熱く、ゲームで闘いまくるのです。

…というわけで、せっかく潜入取材しにいったので、わたしも遊んでみました。
まずは、(無類の横山光輝ファンゆえ)横山光輝版「史記」双六
横山光輝の『史記』といえば、数ある光輝作品の中でも、「これも学習マンガだ!」プロジェクトで選ばれる名作ですよ、皆さん。


「GOAL」は、もちろん「『史記』完成。」


…なんですけど、ぴったりの目が出ないとゴールできない、というルールにしたために、なかなか「史記」が完成しないうえに、何度も投獄されたり拷問にあったりという憂き目にあう感じになってしまいました。
「史記」の生みの苦しみが味わえる双六です。

漢文ゼミ生を含む四年生軍団は、史記「鴻門之会」の白文を、上の句・下の句…のようなかたちで組み合わせて完成させていく(!)という、ほぼ不可能そうな課題にチャレンジ。
…これって、原文がなくてもできるゲームなんでしょうか…?


最後に、「残り15分」と言われながらチャレンジしたゲームが、こちら。


「魯迅」……?´・∀・`)

これってそもそも『史記』なんでしょうか……?
まあ匈奴が侵入するし、史記なのか…な…?いやきっと史記だ、史記。

 高芝麻子先生には、『横浜国大国語教育研究』第43号に、ご自身の制作された「漢詩カード」を用いた実践報告「漢詩実作教材「漢詩カード」試論 ―中学校・高等学校での教材として―」をご寄稿いただいています。

今回の「『史記』を遊ぶ」の試みや、ここから生まれたゲームたちも、なんらかのかたちで『横浜国大国語教育研究』本誌でご紹介できるといいな~と思った90分でした。

潜入取材にご協力くださった高芝先生と受講生の皆さん、ありがとうございました!

2019年7月3日水曜日

【研究会情報】公開シンポジウム「国語教育の将来―新学習指導要領を問う」

昨年度、本学名誉教授の三宅晶子先生(古典教育)が、日本学術会議の公開シンポジウム「国語教育の将来―新学習指導要領を問う」にご登壇されます。





日本学術会議のHP よりチラシがPDFでダウンロードしていただけますので、ぜひそちらもご覧くださいませ。(PDF)


以下、公開シンポジウムの詳細です。

 公開シンポジウム「国語教育の将来―新学習指導要領を問う」  
1.主催:日本学術会議言語・文学委員会、古典文化と言語分科会
2.共催:日本学術会議言語・文学委員会

3.日時:令和元年8月1日(木)13:00~18:00
(参加自由、入場無料、事前登録不要)

4.場所:日本学術会議講堂(東京都港区六本木7-22-34)

5.開催趣旨:
平成30(2018)年3月、中教審の高大接続システムの提唱に基づき、高等学校国語科の新学習指導要領が告示された。この指導要領は、今後の高校における国語教育の根幹と、大学入試のあり方にかかわるものであり、影響が大きい。本シンポジウムでは、学習指導要領の作成にたずさわった文部科学省、高校教育の関係者、大学において教員養成学部に勤務する者、大学の文学研究者などさまざまな立場のひとが集まって、この問題を議論することを目的とする。
今回の指導要領によって、「現代の国語」と「言語文化」の2科目が必修となり、「論理国語」「文学国語」「国語表現」「古典探求」の4科目が選択科目として新設される。選択となる以上、実際の教育現場では時間数の関係で「文学国語」が敬遠されるのではないかという危惧が、関係機関や有識者から表明されている。古典と近代文学を含めて、文学が高校の国語教育において軽視されることにならないか。論理的思考力を涵養するのは確かに国語教育の重要な目的のひとつだが、実用的な文章を読み、分析することがはたしてそれに直結するのか。高校の教育現場では、これまで論理的思考をどのように涵養し、そして今後どのようにそれを教えていくのか。要するに、わが国における国語教育は今後どうあるべきなのか。さまざまな立場の関係者の意見交換を踏まえて、展望を示したい。

6.次第
総合司会 小倉孝誠(日本学術会議連携会員、慶應義塾大学文学部教授)
13:00 開会の辞/松浦純(日本学術会議第一部会員、東京大学名誉教授)
13:10 趣旨説明/小倉孝誠
13:15―15:30 発表
「新学習指導要領における「文学」概念を問う」/安藤宏(日本学術会議連携会員、東京大学人文社会系研究科教授)

「古典教育の危機を救う」/三宅晶子(日本学術会議連携会員、奈良大学文学部教授、横浜国立大学教育学部名誉教授)

「なぜ、そしてどう古典を学ぶのか」
渡部泰明(日本学術会議第一部会員、東京大学人文社会系研究科教授)

(14:15-14:30休憩)
「高校における『国語』という教科の特性とは何か」/大森秀治(前灘高等学校教頭)

「高等学校新学習指導要領国語科の目指す授業改善」/大滝一登(文部科学省初等中等教育局視学官)

(15:30-15:45 休憩)

15:45-16:30 パネリストによる討論/討論司会 山田俊治(日本学術会議連携会員、横浜市立大学名誉教授)

16:30-17:50 参加者との質疑応答

17:50-18:00閉会の辞/吉田和彦(日本学術会議第一部会員、京都大学名誉教授)