2023年5月21日日曜日

教室から:「漢字×桃鉄~地名漢字って面白い」教材の体験活動を行いました

 教育学部2年生対象の授業「初等教科教育法(国語)」(「初等国語科教育法」)では、学部生たちに、教材開発のプロセスを体験してもらうための試みとして、現在開発されつつある新教材を体験し、それを体験した自分自身の活動に基づき、その教材にどのような学習上のメリット・デメリットがあり、どのような改善が必要されるのか、について考えてもらうための機会を、提供するようにしています。

その中のひとつとして、積極的に取り入れれているのが、ゲーム型教材を体験し、その経験を通じて考える活動です。

2017年度の「初等教科教育法(国語)」では、(公財)日本漢字能力検定協会とSCRAP社との共同で開発されたリアル脱出ゲーム型教材「不思議な漢字洞窟からの脱出」のプレイ体験を行ったあと、これを教材として活用するとしたら、どのような学習単元を展開することができるか、を考える活動を行いました。

石田喜美(2022)「ゲーム型教材の分析を通じて主体性育成について考える ―リアル脱出ゲーム型漢字学習教材「不思議な漢字洞窟からの脱出」を用いた実践事例から―」『横浜国大国語教育研究』, 第45巻, pp.2-15

この試みは、コロナ禍の影響でしばらくお休みしておりましたが、このたび、日本漢字能力検定協会によって、新たに、社会(地理)との教科横断的学習も視野においた新教材「漢字×桃鉄 地名漢字って面白い」が開発・公開されたということで、久しぶりに、ゲーム型教材の教材を体験する授業を、試行的に行ってみることに。



漢字×桃鉄 地名漢字って面白い」では、本教材に関心をもった先生方がすぐに授業を展開できるような、スライド資料や指導案なども用意されています。そのスライド資料を使用しながら、地名漢字の魅力について触れてもらったあと、いよいよ、チームごとにマップシートを配布して、すごろく型の教材を体験。

横浜国立大学には、神奈川を中心に全国から学生たちが集まってきているので、チームごとに、どの地方のマップシートでゲームプレイを体験するのかを考えてもらいました。
いろいろなマップシートを使ってプレイをしてもらったところ、地方ごとに地名漢字の難易度が異なったり、それもあってゲットできる得点に大幅に差が出たりする…ということも見えてきました。

とくに話題になったのは「北海道」の難しさ!

この教材では、難読地名とそうでない地名でゲットできるポイントが異なるのですが、「北海道」の場合、難読地名に指定されていない地名もかなり難しいということが、わかりました。

ゲームプレイ後、受講生たちには任意で、アンケートに回答してもらったのですが、地名と結びつけることによって、漢字の学習が世界を知ること、世界を広げていくことに結び付いているというような肯定的な側面に着目したコメントもある一方、地名漢字そのものが面白いのでもっとクイズ形式で一人で解いていけるようにしたほうが良いのでは?すごろく形式にすることによってかえって地名漢字の面白さが活かせなくなっているのでは?というような批判的な意見もあり、これをベースにどのように教材デザインを改善していくことができるのか、を考えていくための素材にあふれた意見がたくさんありました。

やはりゲーム教材は、ゲームプレイを体験して終わりにするのではなく、その後に、その教材について感じたことを振り返ることに意味がありますね。